晴れ。
暖かい。
昨夜は冷えて、フリースを着てたけど、今日はパーカー。
それでも、下着のTシャツに長袖のTシャツだから、東京ではこの時期考えられないことだ。
もっとも、ボクはカロリーが低いので、人よりは寒さを感じるのだが。
朝ご飯は、昨夜作った豚肉のすき焼き。
糸こんにゃくをたっぷり入れて、豚肉は、脂身の多いバラ肉。
生卵で食べた。
ご飯は、一口。
一日一杯のミルク入りコーヒーを飲んで、映画観る。
『めし』観る。
大阪が舞台のこの映画、東京から来た上原謙と原節子の夫婦のありようがとてもリアルだ。
ワンシーンのみの脇の俳優さんもみんな素敵だ。
しかし、描かれていることに華やかさは微塵もない。
上原謙が、女性の客の土産のお菓子の箱を踏みつけるカットが、秀逸。
映画だなと思う。
ラストシーンはハッピーエンドでそれが少し、物足りないか。
でも、気持ちのいい夫婦の話だ。
きっと東宝に移籍しての第一作となる原節子のために作られた映画なのだろう。
『浮雲』観る。
同じ、林芙美子の原作でも、脚色へのスタンスが全く違っていて、こちらの方の脚本は、水木洋子。
原節子にこの役は出来ないだろう。
やはり高峰秀子を置いて他にはない。
そして、憎らしいほどにこの映画は成功している。
期せずして、『めし』と本作を続けて観たのだが、この二本の映画は、表と裏の関係にあるようだ。
原節子演じた妻が、『浮雲』では死に、『めし』では愛人の存在は全くなかった夫に、『浮雲』では、浮気をさせて、破滅(?)させて行く。
夫のキャラクターは、あまり変わらない。
『浮雲』の森雅之に毒舌家というキャラクターをまぶした程度で、優柔不断な男というのは、そっくりだ。
昨日観た『ラスト・コーション』の警戒心の強い軍人ともまた似たキャラクターで、どちらも結果、女が死んで、男は失意の中で、孤独にむせび泣く。
これらの映画を観ていて、今の人たちに、これらの映画を見せた時に、どんな反応をするのか気になった。
女性は、ヒロインに感情移入するんだろうか?
男は?
50年以上の時を隔てて、『浮雲』と『ラスト・コーション』が存在するが、設定などは違うとしても、どこの国も、そしてどんな時代も二枚目俳優に、このようなキャラクターを置くということは、プロデューサー的観点からすれば、興味深いことだろう。
男を狂わす女。
宿命の女。
ファムファタル。
何だか懐かしい言葉が出て来た。
現実からの逃避という面が映画にあるとしたなら、日本に久しくなかった宿命の女の出現とそれに振り回される男の悲喜劇を作ってみたいものだ。
『娘・妻・母』観る。
東宝スコープ。カラー作品。
宝田明など東宝のスターがずらりと並んだ大作だが、中身は、とても地味で、いくつかの家族模様がカットバックして展開されていて、辛うじて華やかさが出ている。
それでも、この映画は、公開時大ヒットを飛ばしたらしいことが、DVDのパッケージに書かれている。
あながち誇大広告でもないようだ。
内容は、素晴らしいの一言に尽きる。
「いい映画は当たらない」
とかが近頃のプロデューサーの口癖だが、良い映画を当てるように努力するのが宣伝や配給の仕事。
勘違いしてもらっては、はなはだ迷惑だ。
朝から成瀬監督作品の三連ちゃんで、疲れ果てる。
どの作品も、相当気合いを入れてみないと、力負けしてしまう。
圧力に屈して、放棄したくなる。
それほどに、これら作品には力が入っているが、この監督もまた、「食べるためにやってる」と川島監督のようにうそぶいていたのかな。
何かの特典映像で、小沢昭一さんが言っていたが、「半分は遊び、半分はまじめ」で、映画を作っていたのか?
もっとも、この時代のスタジオに属す監督は、一年に何本もの映画を作っていて、残るのは、その内の何本かなのだろうから、全てに入魂するひつようもなく、それを望んでる人は誰もいなかったわけだが、今は違う。
次の一本は、何とか楽しんでやりたいものだと思っていても、いざ撮るとなるとそうはいかない。
まさに、入魂しなければならないような状況に追い込まれていく。
だから、かつての多忙な監督と自分とを比較することなんて出来ないのだが、ある種の余裕がないと、いいものも出来ないということなのかも知れない。
残念だが、そんなことを考えた。
夜に、コンビニまで買い出し。
霧の中を走る。
ヘッドライトに、森の道が浮かび上がり、ポーの小説のことなんかを思い出した。
2010年7月19日月曜日
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