2010年8月21日土曜日

2010/08/20

数日間、大阪で過ごした。

森繁久彌さんの特集上映があることを知って、お盆がてら奥さんの実家に世話になるとことにしたのだが、森繁の特集上映は、スケジュールの都合で、肝心の駅前シリーズや社長シリーズを観ることが出来ず、森繁がゲスト的に出演した『二百三高地』一本に留まってしまった。

しかしこの『二百三高地』が思わぬ拾いもので、DVDでも過去に発売されているようなので、もう一度観てみたいと思っている。

とにかく笠原和夫の力の籠もった脚本が見事だ。

音楽のさだまさしも、奇跡的な名曲を提供している。

「防人の詩」の歌詞、曲は、誰もが作れる歌ではない。

このひとにしか作れない。しかも、二度とは作れない歌に違いない。恐らく、さだは、笠原和夫の脚本に心打たれ、この歌を書いたに違いない。映画作りは、各パートが全力を出して、いい作品にしようと言う気概がないと成功しない。見事に、さだはその期待に応えたが、それ以上のものを残した。

歌が大ヒットしたからだ。

ほろ酔いでこの映画を観たせいか、ボクは映画の前半、少しばかりまどろんでしまった。映画館で、居眠りをするなんて何年ぶりかのことだ。外は灼熱地獄なのだから、体がほっとしたのかも知れない。映画館の中は、寒いほどで、覚醒してからは、体をさすってないと、じっとしていられないほどだった。

映画の後半は、闘いのシーンが延々と続く。

前半とは、別の映画を観ているような錯覚に陥る。

前半、ひっきりなしに出ていた、伊藤博文役の森繁の姿は、後半ぷっつりと途絶え、変わって現れるのが、仲代達矢扮する乃木希典だ。

主役がここで、時の首相から現場の指揮官へと変化する。

そして、ラストシーン。

あらゆる犠牲を払い、日ロ戦争に勝った日本。しかし、乃木希典は、天皇を前にして、報告文を読み上げるその半ばで、泣き崩れていく。

見事としか言いようのないラストシーンだ。

映画は、テロップに変わり、伊藤博文が暗殺されたことを告げ、乃木希典は妻と共に、自刃したと告げられる。

この映画の監督は、舛田利雄。製作・配給は、東映。

未見の方は、是非!



と、言う訳で、映画は、この一本で終わってしまい、食い意地がはったボクとしては、あちこちを食べ歩きしていたのだが、注文した料理のほとんどは、残さなければならず、それがまた尾を引いて、頭の中は、食べることへの興味以外はないかのように、大阪の街を彷徨い歩いていた。

それでも、頭の中には、『二百三高地』の様々なシーンが、浮かんでは消えて行き、中でも特に、仲代達矢の名演には、繰り返し、感心した。

素晴らしい俳優だ。ボクは『春との旅』で縁あってご一緒したのだが、撮影当時、ボクは仲代さんの偉大さに、まだ気づいていなかったんじゃないかと思えた。この映画を観た後、九条の商店街にある食堂で、ひとりビールを飲んでいたのだが、コップを持つ手が、震えて、治まらなかった。

いやはや。

0 件のコメント:

コメントを投稿

2017年の事、そして、18年に向けて、

一昨年に撮影、完成した「海辺のリア」の公開が、6月となり、(これは、完成する前から決まっていたのですが)それまでは、新作のことも考えずに、ただ漫然と公開を待つ日々を送っていました。 映画が完成してしまい、初号試写が終わってしまうと、奇妙な空気が漂い始めます。 何かを始めように...